課題の顕在化が重要 ストレス検査で助言 中企団セミナー

日本最大級の社会保険労務士団体「中小企業福祉事業団」は4月14日、社会保険労務士を対象に、「-働き方改革の実践に活かせる-ストレスチェック制度を活用した職場環境改善手法」に関するセミナーを開催した。

 講師を務めたのは、外部機関で5万人以上のストレスチェック実施に携わってきた特定社会保険労務士の戸國大介さん。ストレスチェック制度初年度を振り返り、次年度への課題と方向性について論じた。

 初年度は、出遅れや人事部門の負担などの要因から、実施後の結果が現場へ生かされず、リスクに気が付くきっかけのみを提供するに留まった事例が多かったと指摘。分析データから課題を顕在化させることが重要とアドバイスした。

 

※参考 

労働新聞社

https://www.rodo.co.jp/

メンタルヘルス対策 支援制度を紹介 東京都が冊子

東京都労働相談情報センターは、心の健康対策に関連する法令や公的支援制度を紹介する冊子「働く人のメンタルヘルスガイド2017」を作成した。平成27年12月に導入されたストレスチェック制度の実施手順や留意点などを解説したほか「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に基づくメンタルヘルスケアの具体的な進め方や、休業した労働者の職場復帰支援の流れを指南している。

 事業者と労働者向けのセミナー・講座および事業者向け相談会、労働者向けの公的融資制度などの支援メニューも紹介している。希望者には、都内6カ所の同センター事務所で配布している。

 

※参考 

労働新聞社

https://www.rodo.co.jp/

東京都労働相談情報センター

http://www.kenkou-hataraku.metro.tokyo.jp/mental/index.html

ストレス検査 好事例分析し“水平展開”へ 神奈川労働局

神奈川労働局(藤永芳樹局長)は、人事労務担当者などを対象に、ストレスチェックのセミナーを開催した。㈱リコー、㈱東芝、㈱富士通ゼネラルの3社が、それぞれ産業医保健師、実務担当者の立場から自社の事例を紹介した。

 エアコンなどの製造・販売をする富士通ゼネラルは、厚生労働省作成の質問項目に加え、仕事の充実度など20の質問項目を追加した独自の調査票を使用し分析した。ストレスが低くやりがいを感じている部署を浮かび上がらせている。顔を合わせるコミュニケーションが多いとストレスが少ないなどの好事例を“水平展開”することが望ましいとした。

 

※参考 

労働新聞社

https://www.rodo.co.jp/

ストレスチェック実施2割?対象の県内事業者を調査

働く⼈の⼼の健康を守るため、国が2015年12⽉から従業員50⼈以上の事業場に義務づけた「ストレスチェック」を実施した県内事業
者が、対象の2割程度にとどまる可能性が⾼いことが2⽇、神奈川労働局の調査で分かった。
同局によると、ストレスチェックを期限の昨年11⽉末までに実施したと労働基準監督署に報告したのは2242事業場。直近の14年経済
センサスでは、県内の50⼈以上の事業場数は9968で、これを基にすると実施率は22%程度にとどまることになる。
チェックを受けた労働者は30万4992⼈で、実施率は79・2%。実施した事業場でも約2割がチェックを受けなかったことになる。チ
ェックで⾼ストレスと判定され、医師の⾯接指導を受けたのは2303⼈だった。
同局は「実施状況が低⽔準にとどまっているのは明らか」と危機感を強めている。これを受け、同局は10⽇に労災防⽌に努める県内の関係
機関を集め、ストレスチェックの実施と報告の徹底を要請する。
ストレスチェック制度は、仕事が原因となる精神疾患で労災認定されるケースの増加を踏まえ、労働者⾃⾝がメンタルヘルス対策に取り組む
よう促すのが狙い。年⼀回、雇い主に実施義務がある。50⼈未満の事業場での実施は努⼒義務。

※参考資料

神奈川新聞社

http://www.kanaloco.jp/sp/article/235212

メンタル不調、「ストレスチェック制度」で事前に防ぐ

企業などの事業者に従業員のメンタルヘルス対策の強化を促す「ストレスチェック制度」が義務化されて2年目に入った。昨年受検し「高ストレス」と判定された人もいるだろう。仕事の量や職場の人間関係など要因は人それぞれ。せっかくの「気付き」の機会を生かして、うつ病などの不調に陥る前にメンタルをコントロールしたい。

 

高ストレスと判定された人を面接指導する渡辺医師(東京都港区の赤坂診療所)

 「ひどい人事だと思いませんか。もう僕には無理です」。東京都港区の赤坂診療所。精神保健指定医産業医の渡辺登所長に思い詰めた顔で訴えるのは、50代の男性だ。長く経理に携わっていたが、急に営業に回されリーダー役を任された。営業の経験や知識が豊富な部下をどうまとめたらいいかも悩みを深める。男性は高ストレスと判定され、自ら希望し渡辺氏による面接指導を受けた。

 メンタルヘルス事業を手がけるアドバンテッジリスクマネジメントが企業・団体に実施した調査によると、高ストレス判定の従業員の割合は「5%未満」が37.8%で、「5%以上10%未満」(27.7%)、「10%以上20%未満」(18.6%)と続く。従業員千人の職場なら50~100人の高ストレス者が出てもおかしくない。

 「高ストレス判定がすなわちメンタル不調ではなく、そういう判定でなくても不調の人は少なくない」(赤坂診療所の渡辺所長)。ただ、「ストレス状態にあるとの気付きを生かしてほしい」と指摘する。

 一般社団法人日本ストレスチェック協会の代表理事産業医の武神健之氏は高ストレス者に共通してみられるストレスを大きく3つに分類する。「頑張るストレス」「ガス欠ストレス」「我慢のストレス」だ。

 頑張るストレスは優秀な人が抱えやすい。労働の量と質が急速に変化する中で、どうしても「できる人」に仕事が集中する。皆のためにと頑張り続けてもそれが認められていないと感じると、一気に気持ちが切れてしまうケースだ。ガス欠ストレスは仕事以外に趣味や熱中するものがないといった場合に見られる。

 

 武神氏が一番難しいと指摘するのが、3つ目の我慢のストレスだ。このストレスは「ノーと言えない人に生じやすい」という。自己肯定感が低い場合が多く、「断ってしまうと仕事がなくなるのではないかといった怖さから、我慢に我慢を重ねてしまう」。結果として心の健康を害するまでため込んでしまうのだ。

 メンタル不調で病気と診断されたら、専門医を受診し治療に入ることになる。会社は休職や配置転換といった就業上の措置をとる。その手前で防ぐにはセルフケアも欠かせない。

 武神氏はいくつかの「習慣」を勧める。1つが「構える」。「予想外のことが起きるからストレスになるので、最悪な事態も想定して(心の)扇を広げておくとよい」。また、適度に休んだり、旅行に出かけたりして緊張状態から抜け出す「区切る」も重要だ。

 選んで優先順位を決める「捨てる」もある。自分ではどうしようもないことを四六時中考えても仕方がない。「不満にばかり目がいきがちだが、不満はなくしてもゼロにしかならない。プラスである『満足』を増やさないといけない」

 「書く、話す、読む」も重要だという。「漠然としているから不安なので、書いたり話したりするとモヤモヤが晴れる」。実際、厚労省の労働安全衛生調査でも抱えているストレスについて誰かに相談すると9割の人が解消するか気が楽になったと回答している。

 産業カウンセラー精神保健福祉士の田中啓子氏も「言葉に出すことで頭が整理され、ストレス軽減への効果が大きい」と話す。

 本人の言動などに気になる点が出てきたような場合は、家族や友人らが「最近何かあった?」と聞くだけで、メンタル不調の予防につながることもあるそうだ。

 

ストレスチェック制度 義務化2年目、なお課題

 厚生労働省によると、2015年度に過労などに伴う精神障害で労災認定の支給決定を受けた件数は472件。これでも氷山の一角との声も多い。こうした状況を踏まえ、改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度が15年12月に始まった。

 従業員50人以上の事業所には年1回のストレスチェックの実施が義務付けられている。アドバンテッジリスクマネジメントの調査では、高ストレス要因として医師による面接指導で指摘された項目は「仕事の量、労働時間など」が52.7%と最も多く、「上司との関係」(49.5%)や「仕事の内容(質)」(39.4%)と続く。

 ストレスチェックの結果は事業者に開示されないが、医師面接を受ける場合は本人の申し出が必要なので会社に伝わってしまう。このため、処置を必要としながら手を挙げない人が非常に多いことが課題となっている。

 

※参考

日本経済新聞

http://style.nikkei.com/article/DGXKZO14387320T20C17A3NZBP01?channel=DF130120166090